リユースびん、と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
世界中でSDGsやサスティナブルといった環境配慮・負荷軽減に注目が集まる中、日本でもその取り組みのひとつとしてリユースびんの普及が推進されています。
言葉だけを見るとなんだか新しい取り組みのように感じてしまいますが、実は、日本では100年以上前から利用されています。
そもそもびんとはなんでしょうか?
びんの原料はガラスです。ガラスは化学的にはケイ酸塩化合物と呼ばれ、ケイ素原子を主成分にした物質です。縄文時代に矢尻に使われた黒曜石や、宝石として有名な水晶もこの仲間です。
このケイ素は自然界に豊富にある原子です。
皆さんが日々歩いている地面、砂や岩の中にも豊富に含まれています。
このケイ素をガラスとして利用できるようになったのは、今から約3,500年ほど前と言われています。
ガラスはとても安定した物質で、経年劣化がほとんどありません。また結晶化した構造なので表面の凹凸が少なく衛生的で、さらには光を透過するため、人間の文明に欠かせない道具として利用されてきました。
人間がガラス容器を生み出した時から、私たちが使うまでの数千年、変わらない特徴と役目があります。
それが、繰り返し使うこと=リユースです。
現代では科学技術の発達により、様々な特性を持ったガラスが開発されていますが、その本質的な価値は今でも変わっていません。
日本にガラス容器が入ってきたのは江戸時代、舶来の高級品としての輸入でした。
しかしその当時から、海外からの船の渡航では飲料水の保存にガラスびんが使われていて、その便利さから瞬く間に日本でも普及していきます。
その後、明治時代に入ると、国産のビールびんや清酒の一升びんが生まれました。
そう、これが日本のリユースびんの始まりです。
今でも飲食店の店先で空きびんの入ったビールケースが積まれているのを目にすると思います。
また酒販専門店では一升びんの空きびんも見ることがあります。
ペットボトル飲料などが普及した現代でも、ガラスびんは私たちの生活を陰ながら支えてくれていたのです。
使われ始めた当時は、決して環境意識から再使用がされていたわけではない筈です。
繰り返し使えることが便利で、価値のあることだったのです。
それから100年、ガラスびんのリユースは途切れることなく続いています。
これは環境意識が高まった現代においても、無理のないエコ活動である証明と言えるでしょう。
そして今一度、このガラスびんのリユースに注目しみんなで取り組むことで、環境負荷の少ない未来へ向かうことができるのではないでしょうか。
皆さんのご家庭にはどんな形や色のガラス容器がありますか?
そして、それらは再使用が可能なものでしょうか?
今回から始まったこのコラムで、皆さんと一緒にリユースびんについて考えていきたいと思います。