現在トベ商事では、リユースびんの出荷にも工夫を凝らしています。
Rびんは通常、洗びん後に段ボール箱(カートン)に入れて納品していますが、この箱の扱いにも工夫をしています。
ひとつはリユース可能な箱の導入で、最大15回ほどリユースできるダンボール性の折りたたみ可能なカートンを採用し、納品時に空きカートンを回収することで、リユース活動を行なっています。
もうひとつは、リデュース化の取り組みで、あらかじめ生産者が出荷に使う段ボール箱=製品カートンに入れて納品することで、出荷時のリデュースおよび、生産者のリユースを実現しています。
トベ商事ではこうした、最新の洗びんシステムを中心にした効率的な事業を展開することで、より環境負荷の低い未来を目指す、新しい挑戦を続けています。
ただし、このRびんの取り組みを今後も、より環境負荷の低いシステムに改善していくためにはまだまだ、消費者、生産者、物流業者、そして洗びん事業者で情報を共有し、議論を重ねて改善する必要があると、戸部会長はおっしゃいます。
現在、トベ商事で1日に洗びん処理されるRびんの不良品発生率は全体の4%ほどで、年々、生協の利用者の意識は高待っており、返却時のルールはほとんど守られているといいます。
ただ一方、生産者が要求する品質は、充填する内容物や、充填機械の差などもあり、まだ開きがあるそうです。
そうした場合、洗びん作業の検査は一番厳しい基準に合わせる必要があり、この数%でも、年間に出る不良品を考えれば改善する価値はあるとのことです。
統一するのは難しい問題ではありますが、仕方ないと諦めずに、三位一体で改善を進めていきたいと戸部会長はおっしゃいます。
Rびんとリユースボトル
リユース容器は、ガラスびんだけではありません。
実際に海外では、ペットボトルでのリユースの取り組みもあります。
ただ現状では、プラスチックボトルは匂い移りの問題もあり、循環の輪を継続するには難しい面もあると言います。
例えば無色無臭のミネラルウォーターに使ったペットボトルは、リユースしてさまざまな飲料に使用できますが、ジュースなどのボトルは色や匂いがわずかに残ってしまうため、他の飲料に使えなくなる、といった供給面の課題が解決できていないそうです。
またペットボトルは使い捨ての問題だけでなく、海洋汚染の影響も考えなければなりません。
日本では現在、年間225億本にも及ぶペットボトルが消費されていて、その96.5%が回収されているそうです。一見、回収率が良いように感じますが、未回収分を本数にすると8億本近くになります。
この未回収分を改善すること、また回収分も効率的なリユースが可能な素材になれば、より環境負荷の低い未来を目指せると言います。
現段階でガラスびんはとてもクリーンな素材ですが、樹脂容器の進化にも戸部会長は期待しています。
実際に、近年では多くの樹脂、他素材メーカーがリユースについてトベ商事に相談に来るそうです。
こうした相談は歓迎しており、それぞれの企業が拡大生産者責任※を意識することが大切で、それが消費者の選択肢にもつながると言います。
※生産者が製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという考え方。具体的には、生産者が使用済み製品を回収、リサイクルまたは廃棄し、その費用も負担すること。OECD(経済協力開発機構)が提唱した。循環型社会形成推進基本法にもこの考え方が取り入れられている。
Rびんが目指す未来
現在、日本のリユースびんの取り組みについては、Rびんが先導していると言えるでしょう。生協では、リユースの仕組みと、生協の仕組みの相性の良さに古くから気づき、今まで続けてきました。その努力は並大抵のものではないと、戸部会長はおっしゃいます。
リユースの取り組みは、各企業、団体が様々な形で取り組み始めていますが、
まだまだ国民の当たり前の生活に溶け込んでいるとは言えないでしょう。
しかしながら、世界的にもリユースびんの取り組みはどんどん大きく育っており、日本でも例外ではありません。
その時には、今まで実績を積み上げてきた生協がリーダーなり起爆剤となることで、他の生産者にもRびんの利用が広まっていくはずだ、と戸部会長は期待しています。
このいつか必ず来たる未来に向けて、私たちもできることから少しずつ生活を切り替えて、リユースが当たり前の選択になる、そんな未来に歩み続けていきましょう。
最新の洗びん機でより効率的なリユース事業を目指すトベ商事 前編の記事はこちらをご覧ください。
▼ Data
会社名:株式会社トベ商事
住所(本社):〒114-0002 東京都北区王子5-10-1
電話番号:03-5902-3202
主な事業:リサイクルシステムのコンサルティング、再資源加工(PETボトル、びん、缶、発泡スチロール、廃プラスチック類)、リターナブルびん洗浄、一般廃棄物収集運搬、産業廃棄物収集運搬、産業廃棄物処分業(中間処理)
URL:https://www.tobeshoji.co.jp/