環境問題には国境はなく、地球というひとつの自然の中で起きています。
そうした国際的な環境問題に対して世界各国でリサイクル事業を手掛ける米国のベンチャー企業のテラサイクル社は、2019年、アメリカ、フランスを皮切りに『Loop』という商品や生活用品の容器をリユース可能なものに置き換える循環型プラットフォームを開発しました。
テラサイクル社は『“捨てる”という概念を捨てよう』をミッションに、環境配慮に積極的なブランドパートナーがスポンサーになり、普段リサイクルされていない、多くの“ごみ”までもリサイクルする解決策を提供しています。
その中でLoopは、『サステイナブル意識の高い企業と共に、一般消費財のごみゼロを実現する新しく便利なプラットフォーム』と定義され、日本では2021年3月に運用が始まりました。
Loop商品は利便性と高いデザイン性が特徴で、環境意識が高くない人でも機能やデザインをきっかけに利用する可能性に期待がされています。
使用される容器は「耐久性」「洗浄のしやすさ」「LCA(Life Cycle Assessment)」という3つの独自基準が設けられ、メーカーが容器を開発し、Loopが試験を行なっています。耐久性は最低でも10回再使用ができること、洗浄がしやすく衛生面に配慮したシンプルなデザインであること、そしてLCAは従来品と比べて、製造〜使用過程を通した内で環境負荷=C O2排出量をどのぐらい抑えることができるかを、基準に検査しています。
Loopのリユース容器はガラスびんだけではなく、ステンレス素材など商品の特性に合わせたリユース可能な素材が使われています。
日本で続けられてきたリユースびんの仕組みと違うのは、まず容器を洗わなくて良いことです。なるべく消費者の手間を減らすことで利用率を上げ、普段、ごみを捨てるのと同じ感覚でリユースに貢献できるように考えられています。
もうひとつは回収の方法です。日本では、酒屋の減少がビールびんや一升びんの回収率の低下に繋がっていましたが、Loopではパートナー企業の実店舗での回収のほかに、E Cサイトで購入した商品に付属する専用トートバッグに入れて、自宅で直接集荷してもらう仕組みを導入しています。
容器はデポジット制となり、回収後に専用アプリを通じて預かり金が返金されるなど、時代に合わせたシステムが構築されています。
このように世界中で、時代に合わせた新たなリユースの取り組みが始まっています。
わたしたちが暮らす日本には、明治時代から続けられてきたガラスびんのリユースの仕組みがありました。それらは大量生産・消費社会の中で、わたしたちの意識から遠ざかっていましたが、時代は変わり、いま再び環境問題に有効な施策として注目を集めています。
すでに仕組みはあるので、わたしたちが手を伸ばせば今すぐにでもリユースに取り組むことが可能です。
まずは身近なガラスびんのリユースから、皆さんも環境問題に取り組んでみてはいかがでしょうか。