リユースびんの豆知識

コラム

40万世帯の組合員が集う生協、生活クラブ


びん再使用ネットワークの会員である生活クラブ連合会(以下、生活クラブ)は、首都圏を中心に北海道から兵庫までのエリアで約40万世帯の組合員が集う生活協同組合です。
1980年代に全国で社会問題化した大量生産・大量消費によって引き起こされた廃棄物問題を解決するため、“できるだけごみを出さない暮らし”の提案・実践方法として、1994年よりグリーンシステムを導入しました。グリーンとは”Garbage Reduction for Ecology and Earth’s Necessity(地球生態系のためのごみ減量)”の頭文字から名づけられたものです。


びんリユースと環境対策


生活クラブでは、設立時より、生産から消費、廃棄に至るすべての過程で「安全・健康・環境」を最大限に追求してきました。容器包装ごみの問題解決についても、1991年から連合理事会の下にさまざまなプロジェクトを立ち上げて検討し、“環境への負荷が少ない容器を選定することを安全性・経済性と同等の比重で行う”ことを決定しました。1992年にはこれを踏まえた具体的な実施策として現在のグリーンシステムの骨格を為す「びん再使用システム」を採択しました。
このびんのリユースは、グリーンシステムを開始する以前から醤油のびんでデポジット&リファンド(預り金上乗せ販売&返金)システムに取り組んでいたので、新しいことではありませんでしたが “びんの規格統一” については世界にも類例がないものでした。


日本のリユースびんには、ビールや牛乳のびんなどもありますが、やはり明治時代から利用されてきた一升瓶がその代表格と言えるでしょう。
リターナブルびんや活きびんとも呼ばれる一升びんは、日本酒をはじめ醤油や食酢、ソース類、焼酎、みりん、果実酒など多くの商品に用いられています。
このように同じびん容器が回収・洗浄されて、中身が全く違う容器として使い回されるしくみは日本独特のものであり、世界では類例がありません。


生活クラブではこの“日本独特のしくみ”を調味料や飲料などに応用するため、びん再使用ネットワークを構成する生協とともに、びんの規格(形状)を数種類に統一し、回収・選別・洗浄・輸送の効率を飛躍的に高めました。このびんの肩や裾には、規格統一びん(Rびん)であることを示す「Rマーク」が刻印されています。


2000年には、生活クラブ会員単協からの要望を踏まえ、それまで紙パックを使用していた牛乳を900mlのリユースびんに切り替えました。900ml牛乳びんは、超軽量*やくびれ形状などが評価され、2000年度にグッドデザインユニバーサルデザイン賞、2010年度にグッドデザインロングライフデザイン賞を受賞しています。
*超軽量は、日本ガラスびん協会のL値(容器の軽量度を表す指標)で最も軽量とされる「レベルⅣ」をクリアーしたもののみ使用できます。従来びん460gから超軽量280gへと約40%削減しました。


さらに牛乳びんに使われるプラスチックキャップや、配達用プラスチック袋のリサイクル回収をするなど、“できるだけごみを出さない暮らし”を実践する取組みを広げています。
(参照:https://seikatsuclub.coop/activity/eco/green.html)


積極的な活動で社会の仕組みを変えていく


生活クラブは、このように暮らしのなかでの循環型社会づくりを実践するだけでなく、法制度の改善などの政策提案運動にも積極的に取り組んでいます。
リユースよりリサイクルを推奨する「容器包装リサイクル法」の問題についても一早く警鐘を鳴らし、「税金でリサイクルをすすめるのはやめよう!」と国会請願署名に取り組みました。また、当時は国も把握していなかった、“自治体による容器包装ごみの収集選別費用”を明らかにする「廃棄物会計」の調査活動も中心的に担いました。この調査報告書は、びんネットのWEBサイトに掲載されています。(参照:https://binnet.org/haiki/)


これにより「廃棄物会計」が嚆矢となり、その後、環境省が「一般廃棄物会計」の調査を行なうこととなりました。今日では環境省の全国的な調査により、トータルでリサイクルに必要な費用のうち、自治体の分別収集・選別保管費用2200億円(85%)VS事業者の再商品化費用390億円(15%)の負担割合が明らかになっています。


そして今日の世界的目標であるSDGsの達成に貢献するため、2020年と2022年に「生活クラブ2030行動宣言」を連合総会で採択しました。
「2030行動宣言」は11の重要目標で構成されており、第4の重要目標で「地球の生態系を維持するため、海や陸の環境保全と気候危機対策に取り組みます。」と掲げています。
この重要目標4の下には7つの取組方針を掲げており、第2の取組方針で「グリーンシステムの推進で資源循環をすすめ、その仕組みを社会に広げます。」としています。
2030年までの達成目標として、Rびん回収率80%をめざしています。
(参照:https://seikatsuclub.coop/about/vision/declaration2030.html)


このように生活クラブでは、未来を見据えた上で、誰よりも先駆けて環境問題に取り組み、また時代に合わせた環境負荷の少ない暮らしを提案し続けています。

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