リユースびんの豆知識

コラム

リサイクル洗びんセンターのあゆみ

リサイクル洗びんセンターは東京都昭島市にある障害者福祉サービス事業所で、社会福祉法人きょうされんによって運営されています。
きょうされんはその前身である共同作業所全国連絡会(略称・共作連)として、1977年に16ヶ所の共同作業所によって結成された組織で、現在では全国1860カ所の会員によって構成され、障害のある人たちの地域生活を支えていくための事業体として活動しています。


その中でリサイクル洗びんセンターは、1994年4月に東都生協の協力を得て、環境負荷の低減を狙ったリユースびん事業と、障害者の所得保障を目的として開設されました。


『Rびんを1本使うごとに、確実に環境負荷が減り、そして障害者の所得保障が生まれていることを、ぜひ多くの皆さんに知って欲しい。』営業推進部の小笠原部長はそう仰います。


開設当初はRびんの洗びん事業を目的に東都生協の配送センターに併設された工場で作業が始まりました。その後、1998年より清酒びんの洗びん事業にも着手し、現在では年間400万本ほどのリユースびんを洗びんし、同時に常時40人以上の障害を持った施設利用者が働ける環境を創出しています。


手作業を中心にした洗びん作業



リサイクル洗びんセンターでは、あえてオートメーション化を導入せず、多くの仕事を手作業で行っています。


洗浄するリユースびんはコンテナ(P箱)に入れられ、パレットに乗せられた状態で、フォークリフトで運ばれてきます。
ここからは利用者の手作業が活躍します。
はじめにびんは洗びんラインに、P箱は専用の洗浄ラインに移されます。
リサイクル洗びんセンターでは4層構造の浸漬式洗びん機を導入しており、予備洗浄されたびんは温度と洗剤濃度の違う洗浄槽を4回に分けて通された後、2回の濯ぎ層を通り洗びん機から出てきます。


洗びん機から出てきたびんも、すべて手作業・目視作業で処理されます。
近年の清酒びんは、飲食店の冷蔵庫で結露してもラベルが取れないよう、化学のりでしっかり張り付いていたり、ふやけないようにプラスチックフィルムのついたラベルが使われたものが増えており、機械だけでは洗浄が難しく作業が必要な工程があります。
リサイクル洗びんセンターではこれらも全て手作業で処理します。
剥がれなかったラベル、ノリが残ったびんは分別され、一本ずつ高圧洗浄機で洗い流し落とされます。それでも綺麗にならないものは破びんされリサイクル原料に、綺麗になったものは再び洗浄ラインに通されます。
また手作業の強みを活かし、目視ではラベルが剥がれにくいと判断できるびんは、洗浄機にかける前に分別され、あらかじめ手作業で予備洗浄が行われます。


こうしたひとつひとつの手間も、利用者の働く場の創出につながっています。
洗浄を終えて綺麗になったびんは、びん底、胴、肩など部位ごとに担当スタッフの眼で目視検査をします。最後に口部を検査し、良品と判断されたものだけが箱詰めされ、びんによっては洗浄されたP箱に入れられて出荷されます。


リサイクル洗びんセンターには現在90人以上の施設利用者がいて、常時44人ほどの利用者がリユース事業で働いています。またその他にも別棟ではドライフルーツのびん詰めなども行っており、そこでも多くの利用者が活躍しています。


オートメーション化しないのは、障害者の「働く場所つくり」を第一に考え、一人ひとりが適した仕事、生き生きとできる場所を提供するためだと、小笠原部長は仰います。
実際に拝見しても、各作業に付いている利用者の皆さんがとてもテキパキと集中して作業している姿が印象的でした。


一方、Rびんの洗びん作業にも手作業の強みが生かされています。
現在、リサイクル洗びんセンターでは東都生協を中心に洗びん作業を請け負っていますが、東都生協では『フタやラベルが付いたままでも返却できる』ことを謳っています。
これは、オートメーション化された工場では負担に繋がるキャップ外しの作業も、洗びんセンターでは利用者の作業になるためです。


環境負荷の低減だけではなく、社会福祉をも実現する、並々ならぬ熱意がリサイクル洗びんセンターにはありました。


リサイクル洗びんセンターの障害者の所得保障の記事はこちらからご覧いただけます。


▼ Data
事業名:社会福祉法人きょうされん リサイクル洗びんセンター
住所:〒196-0021 東京都昭島市武蔵野3-2-19
電話番号:042-542-5800
URL:http://www.kyosaren.jp/publics/index/27/

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