リユースびんの豆知識

コラム

製壜メーカーの老舗、東洋ガラス(前編)


東洋ガラス株式会社は、1888年に大阪で創業した島田硝子製造所を前身とする国内大手の製壜メーカーで、千葉と滋賀の2拠点の工場で主にガラスびんの製造を行なっています。


本社(東京)の一階には容器文化ミュージアムが併設され、容器包装が生み出した文化を広く人々に理解してもらうため、容器・包装にまつわる歴史と製品を幅広く展示し一般公開しています。また企業向けには専用ギャラリースペースも設け、さまざまな容器や環境への取り組みを展示しています。
今回はそんな本社へお邪魔し、ガラスや容器の歴史とともに、ガラスびんについて詳しくお話を伺ってきました。


ガラスの起源とガラスびんの特徴



そもそもガラスとは何でしょうか。
一般的なガラスは、二酸化ケイ素を中心とした無機物を融解、固化させた、化学的に安定した物質のことを指します。
天然資源としては黒曜石が代表的なガラス質の物質で、古くは230万年前、猿人が石器に使用していたことがわかっています。
人の手で作り出したガラスには諸説ありますが、紀元前3000年前ごろ古代エジプト・メソポタミアの遺跡からガラス玉が見つかっています。


現代のガラスびんはソーダ石灰ガラスと呼ばれ、原料は珪砂(二酸化ケイ素)、ソーダ灰(酸化ナトリウム)、石灰(酸化カルシウム)です。現在、主原料となっているのはカレット(ガラスびんを砕いた再生原料)で約75%を占めています。
このガラスびんは、二酸化ケイ素を中心に地球の地殻成分とほぼ同じ組成であり、言い換えれば “地球から生まれた容器”と言えます。
東洋ガラスを含むガラスびんメーカーでは、これらの原料から一気通貫でひとつの工場内でガラスびんに製品化をしています。
これは、別会社で原料加工した資材から製品化される他容器と異なり、上流のサプライチェーンが短く最適化された事業モデルです。


ガラス容器の優位性



ガラス素材には1)溶出しない2)吸着しない3)リサイクル可能、といった他の物質にはない特徴がすべてあります。
成分の溶出が起きないガラスはとても安全で、酸や有機溶剤に強く、化学的に安定しています。吸着の性質も持たないため、細菌や香味が付きづらく、衛生的です。そして高温で溶かし固めることで再び原料として利用可能で、さらにガラスそのものが地殻という天然物質に近く、環境への安全性の高さも忘れてはいけません。


現在、私たちが目にするガラスびんは、3R(リデュース、リユース、リサイクル)が可能な非常に優れた包装容器です。中でもリユースは他の材質の容器に比べて圧倒的に優れており、またリサイクルにおいても、実質的に何度でもボトルtoボトル(ガラスびんを再びガラスびんとして再利用する)の水平リサイクルが可能な3Rすべてに対応した唯一の容器です。


リサイクルにはカスケードリサイクルと水平リサイクルがあり、多くのリサイクル品は、リサイクル原料として使用する際に段階的に素材劣化が進んで同じ品質の製品が作れず、リサイクル回数に限度がある=カスケードリサイクルです。
しかしガラスびんの場合は、リサイクルにおいて品質劣化がないため、何度でも同じガラスびんとして再生が可能で、これを水平リサイクルと呼んでいます。
水平リサイクルが可能であることで、国内循環を完結させることができ、海外情勢の影響を受けることが少なく、資源的に優れた容器と言えるでしょう。


ただしそんな優秀なガラスびんでも、リサイクルに当たっては注意事項があります。
まずガラスびんの組成分類はソーダガラスですが、ガラスには他にも、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、石英ガラスなどがあります。
これらはそれぞれ原材料組成が異なるため、混ぜてしまうと水平リサイクルができなくなってしまいます。また着色についても、後から色を抜くことはできないため、必ず色ごとの分別、リサイクルが必要です。


私たちの小さな選択が優秀なリサイクル素材であるガラスびんの運命を決めている、そう考えると、これから家庭の空きびんを手にした時どうすれば良いか、より良い行動のきっかけになるかもしれませんね。


製壜メーカーの老舗、東洋ガラス(後編)はこちらからご覧ください。


▼ Data
会社名:東洋ガラス株式会社
住所(本社):東京都品川区東五反田2-18-1 大崎フォレストビルディング
電話番号:03-4514-2060
主な事業:各種硝子製品の製造販売、各種硝子製品の製造に関連する諸機械器具の設置工事の施工、不動産賃貸、前各号に付帯関連する事業
URL:https://www.toyo-glass.co.jp/

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