リユースびんの豆知識

コラム

吉川商店 〜独立型の洗びん事業 後編


吉川商店とRびん


前編では一升瓶を例に、吉川商店の洗びん作業を紹介しました。
それでは生協で取り扱うRびんの洗びん作業についてはどうでしょうか。
吉川商店の吉川康彦社長に伺いました。


Rびんの洗浄工程は基本的に一升瓶と同様ですが、家庭用のリユースびんであるRびんは小型で種類がいくつもあるため、検査工程はすべて目視作業で行なっているそうです。
また口部も一升瓶と違い王冠ではないため、樹脂キャップの残りがあった場合は手作業で外す必要があります。
(ただ実際は生協及び利用者の皆さまがきちんとルールを守ってくれているので、取り残したびんが届くことはほとんどないとのことです。)


「一升瓶の口は上から栓をするだけのシンプルな構造で、開封時の傷や破損が起きにくい。これが長く利用されてきた理由のひとつです。
Rびんなど家庭用商品で使用されるプラスチックのヒンジキャップは耐久性と利便性を取ったものですが、キャップの取り外しが王冠に比べると手間がかかります。
また口部にスクリューが切ってあるびんは、一番破損の確率が高い形状です。
リユースのことを考えると、こうした口の形をひとつ取ってもまだできることがあるように感じます。」
吉川社長はこう仰っていました。


また洗びんの大敵は油分で、特に食用油のガラス瓶は、洗浄液が油分に反応する性質上、油が残っていると洗浄力がすぐに落ちてしまい、リユースには向かないそうです。


Rびんを返却する際に家庭であらかじめ汚れを落としてあげることは、洗びんにかかるエネルギーを減らすことにも繋がるのです。


環境のための独自の取り組み


吉川商店の洗びん事業の特色は、何よりもまず自社完結型の洗びん事業であることです。


吉川商店では、洗びん用の水を、地下水を汲み上げ使用しています。洗びんに使用された洗浄水は苛性ソーダを含むためp H値が高く、希硫酸でpH7程度の中性になるよう調整し排水されます。
この排水は、通常であれば下水として処理するものですが、吉川商店では自社内に汚水処理設備を備え、下水処理場と同様の工程で数日かけて分解濾過し、下水ではなく農水路に排水しています。
農水路に排水するためには自治体の定める厳格な基準を満たす必要があり、中でも生物化学的酸素要求量(B O D)という水の汚れを微生物が分解するときに使う酸素の量の指標を、25ppm以下の数値でクリアしなければなりません。
吉川商店ではこの自治体基準よりもさらに低く、BOD5~15ppm程度に落としてから排水をしているそうです。


自社浄水設備があることで、洗びん全体でかかるコスト、エネルギーを把握しやすくなり、L C A(life-cycle assessment)の観点でも、今後重要になっていくものであると吉川社長は仰います。


また一般的にリユースびんは、新びん使用の10%ほどの環境負荷で使用できると言われていますが、吉川商店では今後、この洗びんに関わる数%のエネルギー、環境負荷でさえRE100を目指して、見直してしいきたいと考えているそうです。
RE100とは「Renewable Energy 100%」の略称で、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブのことです。


再生可能エネルギーには、太陽光や、太陽熱などまだまだ洗びんに利用可能なエネルギーの可能性が多くあるそうで、吉川商店では既にこれらに取り組み始めています。
「洗びんというのは本来どなたの家庭でもできることで、私たちは1日3万本という数をこなすために機械を導入しているだけです。いつかこれらを、家庭でびんを洗うのと同じ環境負荷で、実現できるように日々努力を続けています。」
吉川社長は、そう笑って話を締め括ってくださいました。
このようにRびんは、私たち利用者の手を離れた後も、環境のことを考えた多くの人の手を介して綺麗になり、また戻ってきています。
Rびんのストーリーに思いを馳せて、これからも丁寧に扱いきちんと返却して、無駄のない暮らしに貢献していきたいですね。


吉川商店 〜独立型の洗びん事業 前編の記事はこちらをご覧ください。

▼ Data
会社名:株式会社吉川商店
住所:〒612-8466 京都市伏見区下鳥羽城ノ越町70
電話番号:075-611-3211
主な事業:製品販売(ガラス新壜、ガラス食器、テーブルウエア、プラスチックコンテナー他)、1.8L洗びん販売、倉庫業・不動産賃貸業

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