「今の社会はワンウェイびんを使うことが当たり前になっていますが、Rびんに限らず、本来ガラスびんとは繰り返し使えるもの。斗々屋の活動を通じて、消費者の皆さんにそうした意識を取り戻してほしいと願っています。」
そう話してくださったのは、日本では珍しい”ごみの出ない買い物ができる”食材販売店「斗々屋」を運営する株式会社斗々屋の梅田温子社長。
今回はその事業にかける思いをお話しいただきました。
斗々屋の量り売りの仕組み
斗々屋は現在、京都市上京区と東京国分寺の2カ所に直営店を構えており、ゼロウェイストをコンセプトにオーガニックの生鮮食品やフェアトレードの食料品、その他環境に配慮した日用品などを販売し、多くの食材は欲しいものを欲しい量だけ量り売りで購入することができます。量り売りでない商品は、リターナブルな瓶などの容器で購入できます。
ゼロウェイストとは、ごみを出さない暮らしのことを指し、無駄や浪費をなくして、ごみを出さないようにしようという活動です。
店内での販売品目は多岐に渡り、食料品では生鮮野菜、乾物はもちろん、惣菜やデザート、液体調味料やお酒に至るまで、あらゆる商品が並んでいます。客はこれらを必要分だけ手に取り、持参した容器に入れて購入することができます。
現在2店ある直営店では購入の仕組みが違いますが、京都本店を例に量り売りの利用方法をご紹介します。
店内に入ったらまず、入り口にある専用の電子はかりに持参した容器を載せます。そうすると重量が記録されたタグが発行されるので、これを容器の底面に貼ってから買い物に移ります。このタグにより後の商品計量時に風袋(容器)の重量を差し引いて計算することができますので、2度目以降に同じ容器を利用した場合、さらに便利になります。
次に購入する商品を選びます。
野菜などであればそのまま手に取り欲しい分を計量、乾物や液体調味料などはディスペンサーからメジャーカップに取り出してから、持参した容器に移します(上記の重量タグをつけている場合は直接持参した容器に入れてもOK)。
その際、野菜であれば電子はかりにカメラセンサーが搭載されており、計量と同時に野菜の種類を自動判別してくれます。ディスペンサーや容器から取り出す食品、調味料などはレバーや蓋などに小さなモーションセンサーが取り付けられており、近くに設置された電子はかりに情報を送ることで、計量時に自動で商品識別が行われます。
斗々屋では量り売りのアナログな作業をIT技術で徹底的に省略することで、現代の生活でも不便を感じさせない仕組みづくりをおこなっています。
こうして不便なく計量を済ませたら最後に支払いを済ませて買い物は完了です。
利用する持ち帰り容器に指定はありませんが、店内には利用に便利な各種デポジット容器を用意しています。
乾物などを入れやすい広口のガラスびん、惣菜などを詰めやすいステンレス製弁当箱、口当たりの優しいバイオマスプラスチックの飲料容器など、用途に応じて様々な容器があります。これらはデポジット制なので、新たに利用する際は料金がかかりますが、返却すれば全額返金されますので実質無料。これは持参した容器に商品が収まらない、追加購入したいといったニーズにも対応することができ、ゼロウェイストへの貢献のひとつとなっています。
また、デポジットの専用ガラスびんはS、M、Lの3種類があり、利用しやすく洗いやすい70〜80mmの開口部を持った広口びんを採用しています。これは導入前に洗びん事業者である吉川商店に相談し、入念な選定を行ったそうです。
この広口びんの利用は斗々屋以外にもリユースのスタンダードびんとして、例えば近隣の飲食店などが利用することも視野に入れており、他業態企業・店舗も巻き込んで、まずは京都での新しいびんリユースの仕組みを作っていきたいと梅田社長は考えているそうです。
ガラスびんは中身が見えることで在庫の管理もしやすく、匂いも付かないので、さまざまな用途に繰り返し使え、ゼロウェイストなビジネスとライフスタイルには欠かせない容器素材だといいます。
リユース、ゼロウェイストというアナログな活動を、最新技術でカバーすることで今までの消費生活と変わらない負担で利用可能にする。
この柔軟な発想こそが、これからの日本の新しい消費活動に必要なのではないでしょうか。
企業とゼロウェイスト斗々屋の2つの仕組み 後編の記事はこちらをご覧ください。
▼ Data
会社名:株式会社斗々屋
住所(本社):〒602-0862 京都府京都市上京区河原町通丸太町上る出水町252番地 大澤事務所ビル 1F
主な事業:オーガニック食材・ワイン、量り売り専用什器、エコ雑貨などの輸入・卸売・小売
URL:https://totoya-zerowaste.com/