リユースびんの豆知識

コラム

製壜メーカーの老舗、東洋ガラス(後編)


ガラスびんは食品を長期保存し、経済的で使い勝手のよい容器としての機能的役割と、ガラスの質感や形状で五感に訴える高級感などの情緒的役割があります。


そう語るのは、今回取材を受けてくださった東洋ガラス株式会社・環境対策推進室リーダー、大越壯一郎さん。はじめに、企業向けのショールームを見せてくださいました。
ショールームにはガラスびんを中心に、さまざまな素材の容器が所狭しと並べられています。
「ガラスびんは、飲料、食品、調味料、酒類の容器としてとても優秀です。高いガスバリア性で長期保存ができることに加え、例えばレトルト食品は高圧釜で120℃・20分以上の高温・高圧で殺菌をするため、樹脂容器などより耐熱性に優れるガラスびんが向いています。」


超軽量Rびんの開発



さまざまなガラスびんの中でも特に目を引いたのは生協の取り扱う超軽量Rびん。
実際に同じ容量のガラスびんと持ち比べてみると、その軽さに驚かされます。


東洋ガラスが製造しているというこの超軽量Rびんについて、詳しくお話をしていただきました。
まずこちらをご覧ください、と見せてくださったのは、超軽量Rびん発売当時の資料。


「超軽量Rびんの開発がスタートしたのは1998年、今から25年も前のことです。現在より環境問題が注目されていないこの時代での開発・発売は、とても画期的なものでした。
従来のRびんより環境負荷を減らした新しいRびんを作ってもらえないかと、日本ガラスびん協会に依頼をいただいたのがきっかけでした。
そこで私たちはもともと生協用に作っていた生協500というRびんをベースに開発を始め、環境負荷を減らす可能性を生協様、中身メーカー様、洗びん事業者様、糊メーカー様とさまざまな側面から協議し、試作を繰り返しました。その開発は簡単なものではなく、最終形に至るまで実に4年もの開発期間が掛かりました。
本来、ガラスという物質は理論上は鉄より強度がある素材だと言われています。
しかしナノレベルの細かい傷が入ることで、割れるきっかけが生まれてしまいます。これを解決したのが樹脂コーティングの技術です。
現在の超軽量Rびんは当時と比べると、樹脂コーティングの手法に多少違いはありますが、リユースに必要な性能は当時から大きく変わってはいません。つまりそれだけ完成されたびんなのです。
開発当時は日本ガラスびん協会に加盟する他製壜メーカーでも作っていましたが、現在ではこの樹脂コーティングを施した超軽量Rびんを作れるのは私たちだけになっています。
循環型社会に貢献する超軽量Rびんの需要のある限り製造を続けていきたいと考えています。」


ガラスびんの今後



今後のガラスびんの動向について、製壜メーカーの立場から大越さんに語っていただきました。


「ガラスびんは単なる容器ではなく、食卓を彩る食器と中間にある存在だと思います。
ガラスびんの口当たりの良さや、保存容器として時にデメリットになる重さも食器としては中身の価値を高めるものになったりします。
例えばミネラルウォーターなども、びんに入れることで、お客様から高い評価を得た商品もあります。
容器が多様化していく中で、ガラスびん需要は苦しい面がありますが、他素材の容器が持たないガラスびんならではの良さを私たちはさらに発信していきたいです。


ガラスびんのリユースについてもまだまだやれることはあると思います。生協の帰り便で回収する既存の仕組みだけではなく、自治体レベルで回収する働きも少しずつ始まっています。大手スーパーマーケットとも組んで始まったリユースの取り組み、LOOPも注目を集めましたね。私たちもそうした需要に応えたびん作りで、これからも応援を続けます。

ガラスびんは国内で資源循環できている貴重なマテリアルです。
きちんと使えば100年でも200年でも水平リサイクルが可能な素材がガラスびんです。
私たちやこれからも環境を考える多くの企業、消費者などみんなで手を取り合って、理解の輪を広めていきたいと考えています。」


私たちは当たり前のように日々、食品や飲料、そして容器を目にしていますが、目に見えないその成り立ちはなかなか考える機会がありません。しかし実際にこうして目にしてみるとで、より理解を深めることができました。
容器包装ミュージアムは、東京品川区の東洋ガラス本社一階にて一般公開しています。
コロナ禍の影響で一時公開中止をしていましたが、オンラインミュージアムとしてW E B公開も始めました(https://package-museum.jp/online_museum/)。2023年現在は来館も可能となっていますので、ぜひ皆さんも一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。


製壜メーカーの老舗、東洋ガラス(前編)はこちらからご覧ください。


▼ Data
会社名:東洋ガラス株式会社
住所(本社):東京都品川区東五反田2-18-1 大崎フォレストビルディング
電話番号:03-4514-2060
主な事業:各種硝子製品の製造販売、各種硝子製品の製造に関連する諸機械器具の設置工事の施工、不動産賃貸、前各号に付帯関連する事業
URL:https://www.toyo-glass.co.jp/

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